The Fastest Real-Time Simulator for Power Electronics
リアルタイム・シミュレーション用最新技術として開発された「Nanostep®」ソルバ(2024年第4四半期リリース予定)を適用することによって、RT Boxの実行時間刻みを最小「4 ns」に設定した主回路のリアルタイム・シミュレーションを実行可能になります。高帯域幅の制御アルゴリズムの試験に対する有効なソルバとして、MHz帯のスイッチング周波数に対応可能です。このソルバは、RT Box専用に開発されており、全てのRT Boxで実行可能になります。
各RT BoxにNanostep®ソルバを適用するには、ファームウェアをアップデートする必要があります。
RT Boxについて
RT Boxはパワーエレクトロニクス用途に特化して設計されたリアルタイムシミュレータです。制御器の性能試験に関する、HIL(Hardware-in-the-Loop)および、RCP(Rapid Control Prototyping)の両方に対応可能な汎用リアルタイムシミュレーション用プラットフォームです。
RT BoxはPLECS Coderが動作するPC端末と連動して動作します。PLECS Coderは、PLECSで作成したモデルをリアルタイム・シミュレーションに対応したCコードに自動コーディングし、RT Box上で動作するようにコンパイルします。PC端末上で動作するPLECSモデルは、外部モードを介して、RT Boxのリアルタイム・シミュレーションの入出力にアクセス可能で、RT Boxから出力されるシミュレーション結果をPC端末上のモデルに配置されたPLECS Scopeで表示したり、リアルタイムにパラメータ値を変更/調整することが可能です。
RT Boxのハードウェア・ラインナップは、各電力変換器を再現する際に要求される固有の課題に対し最適化されたソリューションを提供します。標準的な回路トポロジーに対応したモデルライブラリを実装しており、ライブラリに格納された半導体モジュールモデルを組み合わせ任意の回路トポロジーを構築することも可能です。全てのRT Boxユニットは、世界中のエンジニアが使用しているPLECS環境上で動作します。RT Boxには、性能レベルが異なる4つの製品バリエーションがあり、CPU/FPGAベースのソルバと組み合わせ、あらゆる回路システムに対応します:
RT Box CE | RT Box 1 | RT Box 2 | RT Box 3 | |
---|---|---|---|---|
Processor | Xilinx Zynq | Xilinx Zynq Ultrascale + | ||
Solvers | ||||
CPU-based | 1 | 3 | ||
FlexArray | 0 | 1 | ||
Nanostep® | 1 with 7.5 ns step size | 2 with 4 ns step size | ||
Target audience | Classroom and lab teaching | Versatile and low cost for HIL and RCP | Multi-core and FPGA for faster, higher complexity circuits | Increased I/O for multi-level converters and microgrids |
RT Boxの技術仕様の違いを確認するには 仕様比較表 を参照して下さい。
The RT Box lineup offers a solution for any application.
RT Boxの内部仕様
RT Boxに搭載されているプロセッサは、FPGAと複数のCPUコアで構成されるSoCです。CPUコアとFPGAが統合されているため、Nanostepソルバー/FlexArrayソルバー/CPUコアでのシミュレーションといった各処理間でのデータ転送に関するレイテンシ(遅延)も極小です。1つのCPUコアがユーザーとの通信用として、残りのコアがリアルタイム・シミュレーション用として使用されます。
CPUコアのみでリアルタイム・シミュレーションを実行する場合は、完全にカスタム化した変換器の開発や、高速なタイムステップ(計算時間ステップ)を必要としないシステムの計算リソースを節約することが可能です。CPUコアベースのシミュレーションでは、計算時間ステップは通常、1μsより大きい数値になります。
RT Box 2、3では、パイプライン実行による超並列処理を利用したFPGAベースのシミュレーションが実行可能です。FPGAベースのリアルタイム・シミュレーションでは、250 nsという速い計算時間ステップを実現可能となり、リアルタイム・アプリケーションのパフォーマンスが大幅に向上します。。
「Nanostep」による高精度シミュレーション
Nanostepソルバーは、MHz帯域レベルのスイッチング周波数をサポートし、一般的な電力変換器を制御するための超高速計算時間ステップのシミュレーションを可能にします。各計算時間ステップには、サンプリング/計算/ダイオードのスイッチ状態決定等に関する値が含まれます。Nanostepに関する詳細情報については、2024年初頭に公開された Bodo's Power Systemsのカバーストーリー をご覧ください。
Nanostepソルバーの超高速な計算時間ステップは、精密な制御を必要とするアプリケーションに不可欠な、高精度のリアルタイム・シミュレーションを可能にします。例えば、電流とPWM信号間の位相シフトにより繊細な電力の伝送が指定される誘導ACリンクによるDC/DCコンバータに当てはまり、一般的な回路トポロジーとしては、LLC共振コンバーターやDAB(Dual Active Bridge)等があり、電流方向の頻繁な変化、不連続伝導モード等の現象が発生しますが、このような場合、スイッチング動作に対する電流挙動の確認/検証が不可欠です。
The output current of a dual active bridge converter switching nominally at
1 MHz, simulated with the Nanostep solver using a 4 ns step size.
下表にRT Boxの各製品ラインナップで利用可能なソルバー・タイプ概要を示します:
Device | CPU | FPGA | |
Solver type | CPU | FlexArray | Nanostep® |
Step size | ≥ 1 us* | ≥ 250 ns* | 4ns / 7.5 ns (fixed) |
Switching frequency | ≤ 50 kHz | ≤ 150 kHz | ≤ 1.5 MHz |
Availability | RT Box CE, 1, 2, 3 | RT Box 2, 3 | RT Box CE, 1 (7.5 ns) RT Box 2, 3 (4 ns) |
Advantages | Develop fully custom power stages and save computational resources for slower elements | Faster simulations for various circuit elements and power modules | High frequency applications and control precision |
Use cases | - All linear/switched components - Thermal components - Loss model calculations - Magnetic domain circuits - Electrical machines - Control blocks (including C-scripts and state machines) | - Converters based on Power Module blocks, especially multi-level - Passives - Sources - Meters - Breakers | Specific topologies: - DAB - LLC - PSFB - Other DC/DCs - VSIs 2/3-level - ** |
*Model size-dependent
**Additional topologies not currently supported by Nanostep
may be customized or developed for it upon request.
RT Box の外部HW接続用インターフェイス
アナログI/O
RT BoxのアナログI/Oは、どちらも、16ビットの分解能がサポートされています。 またアナログI/Oは、一般的な工業用電圧定格範囲に調整可能です。 全てのアナログI/Oは、放電(ESD:Electro-Static Discharge)、短絡、突発的な過電圧印加に対して、保護機能がサポートされています。
アナログ入力は、コモンモードEMI(Electro-Magnetic Interference)を抑制する、差動入力です。必要な場合は、シングルエンド入力も対応可能です。
デジタルI/O
デジタルI/Oは通常、PWM信号の検出/生成に使用されますが、SPIマスター、インクリメンタル・エンコーダーブロック等で参照する汎用のデジタルI/O信号として使用することも可能です。このデジタル信号は、5Vおよび3.3Vの信号レベルで互換性があります。
インターフェースカード
外部ハードウェアを迅速かつ容易に接続するために、ブレークアウトボードとインターフェースカードが用意されています。
チュートリアル資料
RT Boxの設定/操作方法を解説した動画(英語)は、こちら です。
導入費用および在庫状況の確認
為替・関税手数料等の影響で、販売価格は各国によって異なっていますので、 現地通貨による販売金額は、各国の販売代理店にお問い合わせください。