Ćuk(チュック)コンバータ回路

 

回路の動作原理

Ćuk(チュック)コンバータは、入力された直流電圧の極性を変換して出力します。Ćuk(チュック)コンバータは、回路内の電力保持のため、昇圧/降圧/昇降圧コンバータに比べて、インダクタとキャパシタが多く配置されます。下記シークエンスにおけるスイッチ(MOSFET)の導通状態を検証します:

  • 1. ターンオン状態:インダクタ(L1)に流れる電流が線形に増加し還流ダイオードは逆止状態になります。
  • 2. ターンオフ状態:インダクタ(L1)が電流を流し続けようとするため、還流が発生しダイオードが導通し転流を始めます。電力がインダクタ(L1)から、負荷側中央に位置するキャパシタ(C2)へ移動するため、インダクタの電流値が減少します。
  • 3. ターンオン状態:再度、インダクタ(L1)に流れる電流が線形に増加し、還流ダイオードは逆止状態になります。負荷側中央のキャパシタ(C2)が放電し、インダクタ(L2)を介して、RCの負荷を供給します。抵抗器Rに発生する電圧は、入力電圧とは反対の極性を示します。

回路には2つの動作制限があります。PWMのデューティ比:Dが 「0」の場合は、出力電圧は「0V」になり、「1」の場合は、出力電圧が無限大(∞)になります。上記の制限により、連続導通モード(CCM)で動作する降圧コンバータの出力電圧は、次の式によって定義されます:Vout = -D/(1-D)・Vin

上図モデルのように、インダクタおよびキャパシタを配置した場合は、出力電圧のリップルを低減する2次ローパスフィルタとして動作することに留意して下さい。

DC/DC電圧コンバータ(昇圧/降圧/昇降圧)と比べて、Cuk(チュック)コンバータは、常にインダクタに電流が流れる仕様となっているため、不連続導通モード(DCM)では動作しません。

シミュレーションモデルでの実験

  • コンバータのPWMデューティ比を「0.5」から「0.4」および「0.6」へ変更して、出力電圧の平均値が「16V」から「36V(入力に対応した値)」へ変化することを確認して下さい。
  • DCキャパシタ(C1)の値を「10μF」から「100μF」へ変更し、出力電圧のリップルが低減することを確認して下さい。