磁気回路要素を使用したフライバックコンバータ回路

PLECSのデモモデルに含まれている、この事例では、電流不連続モード(DCM)で動作する、DC/DCフライバックコンバータ(2次側出力数:2)をモデリングしています。 コンバータは、平均入力電圧が25Vとなるように設計されています。 2次側の出力は、直流電圧12V(ピーク電流:0.2A)と、 直流電圧5V(ピーク電流:2A)で、直流電圧12Vの出力信号は、制御用フィードバックループで参照されています。 電源回路のフライバックトランスには、特殊な磁気等価回路が適用され、離散制御器と共にモデリングされています。

変圧器用結合インダクタを含む電源回路の設計

電源回路は、標準的なフライバック回路トポロジ(2次側出力数:2)です。 フライバックトランスは電気回路上で、理想変圧器と磁化インダクタンスでモデリングするのではなく、 PLECSの磁気回路ライブラリに格納されている可飽和コア、入出力巻線、エアーギャップ、漏れインダクタンスといった、 基本的な磁気回路要素が使用されています。

下図は、PLECSでモデリングされた変圧器の電気/磁気等価回路です:

電気等価回路モデル
磁気等価回路モデル

変圧器の磁性コア材は、ポットコア形状のフェライトコア材(Ferroxcube 2616:3C91)が設定されています。 飽和特性、エアギャップ長、漏れインダクタンス、巻線数(1次/2次)のパラメータ値は、 データシートの情報、および目標となる出力仕様を元に算出しています。 下図は飽和曲線になります:

1次側のRCDスナバはターンオフ時の電圧スパイクからスイッチを保護するため、回路で配置されています。 スナバは、変圧器の漏れインダクタンスに蓄えられた電力と、スイッチのキャパシタンス(この事例ではモデリングされていません)を散逸します。

制御ロジック

制御器は、デジタルPI制御器を使用している外側の電圧制御ループと、 ピーク電流モードで動作する内側の電流制御ループの、カスケード接続によって構成されています。 参照電圧値はハイサイド出力用として、12Vが設定され、PI制御器にも入力されます。

シミュレーション

シミュレーションは、双方の出力に定格負荷を与えた条件下での電源回路の起動状態を示しています。 シミュレーション開始、0.1秒後に12V出力に対する負荷が、ピーク電流条件に達し、 シミュレーション開始、0.2秒後に5V出力に対する負荷がピーク電流条件に達します。 スコープは、出力電圧/電流と、各巻線および合計の電力を表示しています。 起動時から電流/電圧の目標値へ、負荷を変動させた結果が表示されます。

XYプロットは、磁性コア材の飽和効果を確認するBH曲線を表示します。 材料データシートには、磁性コア材の動作範囲は、0.33T以下と記述されており、 XYプロットには、磁性コアがこの数値以下で動作していることが表示されます。